【行事名】 晩秋の尾張丘陵を尋ねて:名古屋・尾張支部との交流会≪知多支部研修旅行≫

【日 時】 2006年11月25日(土) 〜 11月26日(日)〈一泊2日〉
【旅  程】 11/25:東海市役所発(7:50)⇒猪高緑地(8:40)= 岩倉自然生態園(昼食、12:00)(12:30^)⇒兒の森(14:15^、小牧市)⇒犬山Y.H.(灯火採集・懇親食事会など---泊)
     11/26:筑水池自然観察(9:15^)⇒やすらぎの森(13:50^,可児市)⇒帰路
【天 気】 26日晴れ、27日晴れ時々曇り後、小雨
【参加者】 25人
   (会員:降幡、平松俊、中井康、浅井(+子供さん)、永田、桑原、竹内秀(+子供さん)、門脇夫妻(+子供さん)、大嶋(+子供さん)、吉田(+子供さん)、石原、牧野、山田絹、吉房、小川 )
   (名古屋・尾張:浅井 滝田 三輪 大谷 山田の各氏)
【案内者】 猪高緑地=浅井聡司さん(名古屋)、岩倉自然生態園=三輪千秋さん(尾張) 、筑水池観察=松尾初さん(協議会会長)、やすらぎの森=山田博一さん(尾張会長)
【尾張丘陵の地勢】
  ・ 木曽川と濃尾平野の豊かな基盤に、古くから栄えた丘陵地です。
  ・ その北側の国宝犬山城付近は約2億年以上も前の古生代の終わりから南側の新生代と呼ばれる現代までの変化に富んだ地質です。特に前者はチャート、砂岩、頁岩などの岩石で構成されています。
  ・ また、丘陵地の植生は垂直分布的に見ると、暖温帯のシイ、タブ群落の照葉樹林帯で構成されています。
【内 容】
@ 猪高緑地:の形をした面積66haの緑地です。都市から孤立した森で特に北側は自然のまま保存されています。草木の伐採、里山整備、水稲耕作、竹林の防除など市と協同で取組んでいます。また水質良好な湧水池=塚の杁池については30年以上かけて経過観察中です。悩みの種はカシ類が、長さ5mm程度の天敵”カシノナガキクイムシ”による通道障害で甚大な被害を受けその実態を目の当りにして参加者一同驚きの声を上げました。ブナ科のコナラ、アベマキ、アラカシの順に被害が広がりつゝあるそうで、既に緑地内,約120本が何らかの被害を被っているそうです。案内頂いた浅井さんから金色に塗ったオナモミやお猿さんの顔を描いたカラスウリの種をお土産に頂き、棚田を背に陽光を浴びたススキの穂が光り輝く風情を後に次の観察地に向いました。
A 岩倉自然生態園:昼食を取り終った頃に三輪ガイドさんが案内に来場されました。当生態園は、この地域に古くからあった自然環境を復元し数多くの動植物類の生息する空間を作り出そうとしています。コウモリタワー、昆虫の繁殖堆肥場や復元ビオト―プなどの設備を備えています。コガネムシの仲間アオドウガネが好むハンノキの葉を食べた痕跡やオオムラサキの幼虫同様,初夏にゴマダラチョウの幼虫の食草でもあるエノキの木などを観察しました。ビオトープの縁にキセキレイが飛来、その動作が挨拶するさまに似て参加者一同の顔が和みました。
B 兒の森: 地元の御宮さんの兒神社を名前の由来とする森で自然体験の場として下草刈りなどの整備の後が見えます。特にイワカガミは縄張りなどを施し大切に保護している姿勢を感じさせる一方,多量のモミジの植樹にはやゝ難があるように思い当ったのは当方だけではなかったでしょう。ササユリの小道、どんぐりの小道を辿りホオノキの小道の斜面一面に初雪と紛うほど幻想的にホオの葉がへばり付いていたのが印象的でした。
C 灯火に来る虫観察:
D 筑水池自然観察グラウンド側の駐車場に降り立つと春日井少年の家の看板表示が目に入りました。松尾会長の出迎えを頂き、参加者一同訪問録に記帳後、一同出発。森の植生はアカマツ群と照葉樹林帯で構成され、痩せた土地のためその生育が遅いようです。池の水が落とされ地底が見える状態となっていました。また地層が池の南北で古生層と新第三紀層とで分岐されているとのことです。小道のコンクリート壁面の排水孔にドロバチ,ルリジガバチが巣食っていてその出口には多量の糞が観察されました。昔、御歯黒の原料となった珍しいヌルデミミフシも観察。 明治35年に大谷川の氾濫防止のための治水事業で造られた堰堤の上に立派に形成された森に別れを告げました。
E やすらぎの森:尾張支部会長の山田さんの案内で、懐の深い痩せ地にコナラ、アベマキ、アカマツの雑木林となって手を付けられない侭になっている森に入りました。地層は新生代第三紀の土岐砂礫層で構成されいるそうです。ナワシログミとツルグミとの見分け方に諸説があることを学びました。リョウメンシダの群落、ミヤマガマズミ(実を持ち返る)、ジャノヒゲや薬用のオケラ、光合成・窒素固定を行うネンジュモ等を観察。カツラ,コブシなどの落葉の発酵で甘酸っぱい香りとカケスの声に送られ小雨降る東ゲートから帰路に就きました(小川/記)。
  【観察した主な生き物】
@ 猪高緑地
◎植物
 コナラ(の純林)、アベマキ、アラカシ、クスノキ、サカキ、タカノツメ、ヤブコウジ、ナンキンハゼ、ヒヨドリバナ、ジャノヒゲ、ムラサキシキブ、ケナフ、ペンペングサ(ナズナ)、オマツ、ヒヨドリバナ
◎虫さんなど
 フユシャクガ、ケバエ仲間の幼虫、ミドリシジミ、ヤママユガの卵塊、カナヘビ、カルガモ、アオサギ、ヤマガラ、メジロ、ヒヨドリなど 
A 岩倉自然生態園
◎植物
  ハンノキ、シラカシ、エノキ、マコモ等
◎その他
  ハラビロカマキリの卵塊、キセキレイ など
B 兒の森
◎植物
 コナラ、アカマツ、ソヨゴ、リョウブ、ホオノキ、ヒノキ、ヒサカキ、サルトリイバラ、モミジ、ショウジョウバカマ、イワカガミ、ササユリ ほか
◎虫さん
 ヤママユガの卵塊、モリチャバネゴキブリほか
C 灯火に集まる虫(犬山Y.H.)
◎虫さん
 ニトベエダシャク、キトガリキリガ、ヘーネアオハガタヨトウ、ベッコウバチの仲間、マダラメイガの仲間、マエアカスカシノメイガ、ユスリカの仲間、ノコメトガリキリガ、チャマダラキリガ、クロチャマダラキリガ、ソトシロオビナミシャク、ハラオカメコオロギの♀?
D 筑水池
◎植物
コナラ、アラカシ、アオハダ、ソヨゴ、ナツハゼ、モンゴリナラ、ウワミズザクラ、タカノツメ、リョウブ、ツクバネウツギ、ヤブカラシ、クズ、ツチイナブ、カンアオイ、イヌタデ、ヌルデミミフシ(虫こぶ)ほか
◎虫さん
  ドロバチの仲間、ルリジガバチの巣、フユシャクの仲間、ケバエの仲間、アワフキムシの仲間、ツユムシの死骸、マイマイガの卵塊、幼虫、ヌルデシロアブラムシ、ハヤシノウマオイ、クロスジフユエダシャク、クヌギカメムシ、モンキアワフキ、オオスズメバチ、オオスカシバの幼虫、ヨモギシロケフシタマバエ、カマドウマの仲間、ヤママユの抜け殻、フタモンアシナガバチの巣、トビケラの仲間 など
E やすらぎの森
◎植物
  コナラ、アベマキ、タカノツメ、ムクノキ、コウヤボウキ、ニガグリ、イノデ、ニシキギ、オケラ、ネンジュモ、シュンラン、モチツツジ、タンキリマメ、イワガネソウ、ミヤマガマズミ、リョウメンシダ、ベニシダ、イタチシダ、イノデ、ゲジゲジシダ、ミツデウラボシ など
◎虫さんほか
 ヌルデシロアブラムシ、ハラビロカマキリの卵塊、ハイタカ
【観察会の様子】
 
【左】カシノナガキクイムシの食べ後(猪高)【右】粘菌類のマメホコリ(兒)

 
【左】大小のクズの種(筑水) 【右】何かの幼虫のぬけがら(やすらぎ)

観察会の様子(続き)
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