【県協議会総会】 演題 『地球温暖化に伴う地域の影響について=東海地区を例にして=』

【講 師】 愛知教育大学教授 大和田 道雄様
【日 時】 2008年3月20日(木、祝日)15:15〜16:15
【場 所】 中京大学文化市民会館〔名古屋市金山〕
【天 気】 晴れ
【参加者】  連絡協議会 松尾 初会長ほか会員約45名
  
【内 容】
≪最初に≫
・ 地球温暖化という言葉が日常茶飯事で聞かれる今日この頃です。過去100年のスパンで統計を採ると気温は全世界で約0.7℃、日本でも1.0℃上昇し特に1980年以降でクライマット・シフト(気候変化)が変わってきています。
・ 更に、今世紀末には世界の平均気温が約5℃上昇という恐ろしい事象がシミュレーションされています。温暖化の要因は化石燃料の多量使用による二酸化炭素の排出やフロンやメタンガスなどの温室効果ガスの放出などが考えられています。
・ つぎに温暖化に伴う地域の影響とその抑制策などについて考えていきましょう。
≪温暖化に伴う世界の気候変動について≫
・ 北緯60〜70°に位置する北欧フィンランド(人口500万人、面積は日本とほぼ同積)の例を見てみましょう。ボスニア湾に面したオウル郊外の海岸部が年8mmの速さで上昇しています。これは約8000年前まで残存していた氷河期のスカンジナビア氷床が温暖化の影響で現在も地盤上昇が続いているためです。氷河地形の歴史を物語っています。
・ ハワイのマウナロア山でも1980年頃から1℃グリットの温度上昇が見られます。
・ このように雪や氷が解け太陽光の吸収率が高くなり気温上昇は北半球の、それも高緯度地方が著しく10℃近くの温度上昇の懸念があります。一方、南半球では今のところ南極の氷が厚いので、その影響は遅れています。
・ 他方、世界人口は1900年には16億人であったのが現在では約61億人と3.8倍にも増加、砂漠化や給水事情等で小麦などの食糧栽培にも影響を与え、食べる物が無くなるとも懸念されています。
≪温暖化に伴なう日本や東海地方への影響≫
・ 最近、シベリアから吹き降ろす冷たい風が無くなり、その影響の一つとして日本の冬に伊吹おろしが1976年を境に25〜26日/月吹いていたのが1990年には約11日に減少、西高東低の気圧配置が崩れて低気圧が北になると西寄りの風が多く吹き、伊吹おろしより鈴鹿おろしが増えています。
・ 夏の西太平洋の気温が上がり高温領域の面積が増大し日本列島の南に亜熱帯高気圧の面積が増加、伊勢湾岸上空に南高北低の夏型気圧の出現回数が多くなっています。実際、鈴鹿山脈のフェーン現象も出現しています。
・ この様な夏場の南高北低型現象で35℃以上の高温・高湿・高濃度の中区・熱田の熱気が長久手や東部丘陵に向けられ、天白川の水で冷されている瑞穂・天白は24℃と涼しい。
・ エアコンの冷房排熱や建築物の構造変更・アスファルトやコンクリートの畜熱などで誘発されるヒートアイランド現象は緑被率(緑化率)と大いに相関関係があり、30%の比率で温度差4℃以下に押えられる言われています。現在、名古屋のその比率は24.5%。これからどう変化していくのでしょうか。
≪温暖化の抑制策は---エピローグにかえて≫
・ 先ず、化石燃料からのエネルギーの直接・間接を問わず、消費節減を図り、自然エネルギーの開発、即ち太陽光、風力及び地熱などの発電の利用促進を図ることです。
・ 温暖化もエネルギーもごみ問題も解決策は循環型社会の発展という同じ方向を示しています。不必要なエネルギーを使わず、不必要なカロリーを採らず新しいライフ・スタイルに作り変えましょう。
・ 夏に屋内をガンガン冷すのではなく家の前の散水など現在の生活の中にも、すごく改良の余地ありと結ばれ、何もしないと取り返しのつかないことになりますよと警鐘を鳴らされました。
  以上 (知多支部 小川 展弘)
【観察会の様子】
 
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