【行事名】 知多支部 秋季研修旅行 =晩秋の隣県・静岡西部域の自然を訪ねて=
【日 時】 2007年 11月17日(土)〜11月18日(日) (一泊2日)
【旅 程】 11/17(土):東海市・大池公園(7:45発)⇒国天・浜北大カヤノキ(9:40〜10:00)⇒浜北・県立森林公園(10:40〜11:45)⇒豊岡村・獅子ケ鼻公園(12:30昼食〜14:00)⇒周智郡森町・小国神社(15:10〜15:50)⇒宿泊(16:15コテージ・アクティ着:懇親夕食会、灯火採集)
11/18(日):宿(8:10発)⇒牧の原市・相良油田(9:20〜10:40)⇒御前埼灯台(11:25〜昼食13:10)⇒御前崎・池宮神社(13:45〜14:15)⇒磐田市・桶ケ谷沼(14:50〜16:00)⇒同・国天・熊野の長フジ(16:10〜16:30)⇒帰名(大池公園18:30着)
【天 気】 2日とも晴れ時々薄曇り(冬型の気圧配置の天候)
【参加者】 21名
(会員:降幡、榊原正躬、榊原靖(親子)、中井康、永田、平松俊、平松裕、浅井(親子)、桑原、山本辰、大嶋、石原、門脇(家族4名)、牧野、山田絹、小川)
【静岡西半部の地勢】
日本列島の中央部を糸魚川から静岡までのほぼ南北に横切る大断層・中央構造線が走っています。その西半部が総長213kmに及ぶ天竜川が遠州灘に注ぐ下流部に当り、磐田原、三方原、牧の原の各台地は洪積世(今から約200万年〜1万年前の新生代第三紀後半〜第四紀前半)の地質時代のものです。その地層は厚い砂礫(サレキ。砂と小石)の層から成り立っています。氣侯は温暖で年平均気温16℃以上、降雨量2000mm内外です。(小川/記)
【視察研修の様子】
【左】浜松市浜北区本沢合の「大カヤノキ」 【右】磐田市大平の「獅子が鼻」
【左】静岡県森町問詰の「コテージアクティ」で灯火観察 【右】牧の原市「油田資料館」前で富田さんから相良油田の説明を聞く
【浜松市】 国天・浜北大カヤノキ
国天・浜北のオオカヤノキ:最初の観察地点に到着、幹径1.8mはあろうと思われるカヤノキの巨木が目に入りました。直立しよく分枝しています。高さ22.3m、根元廻り15m、推定樹齢600年の由。周囲に咲いている可憐な濃桃色の花を付けたマルバルコやハゼランの根元に落ちているカヤの実を皆で拾いました。ホトケノザ、ハルノノゲシに別れを告げ次の観察スポットに向かいました。
【観察した生き物】
◎植物 ヨモギ、ホトケノザ、ハルノノゲシ、マルバツユクサ、マルバルコウなど
◎ 虫さん カメムシの仲間(コバネカメムシなど)、ダンゴムシ、モリチャバネゴキブリほか
【左】「大カヤノキ」説明版
【中】昨年のカヤの実
【右】「大カヤノキ」の前で比較写真
【行事名】 静岡県立森林公園
人気のある森林公園で駐車場に苦慮しました。毎週土曜の「自然を歩こう」、「野鳥観察」等の行事と重なった様です。ヤシガラマットに芝張りしたユニークな屋根緑化を施したビジターセンターで案内書を頂き『うぐいす谷の道』、『小鳥の道』コースを選び出発。自然植生のアカマツ林の中、ツクバネ、ウツギ、ソヨゴ、ヤマツツジなどの陽生植物も活き活きとしていました。中米が原産地のモミジバフウ(紅葉楓)の黄緑色を帯びた雌花の球形花序を拾い互いに衣服に付け合いました。自然と人の”共生”を目指し四季折々の活動を実践しているセンター・スタッフにエールを送りつゝ公園をあとにしました。
【観察した生き物】
◎植物 アカマツ、サクラ、リョウブ、アラカシ、ガンピ、カクレミノ(及び実)、アセビ(及び実)、モミジバフウ(及び実)、ソヨゴ、ヤマツツジ、モチツツジ、ツクバネ、ヤマモモ、ナンキンハゼ、センブリ、ウツギ、ヒメユズリハ、ウラジロなど
◎その他 ウバタマムシ、ヤママユの仲間の抜殻、オニヤンマのヤゴに腹部を食われているイモリさん、ジョウビタキほか
【左】静岡県立森林公園のアカマツを主体とした林内。紅葉しているのはモミジバフウ。
【中】クスサンの繭?
【右】マツの害虫、ウバタマムシ。
【左】観察路に生えたセンブリ。
【中】サジガンクビソウ
【右】センボンヤリ
【左】ヤマジノホトトギス
【中】コバノガマズミ
【右】エンシュウハグマ
【左】ヌメリイグチ(食、美味)
【中】ニガクリタケ(強毒)
【右】キヒモカワタケ?
【行事名】 豊岡村・獅子ケ鼻公園
村の東地区、敷地という所に立地します。約100m程の切り立つ崖上に獅子の鼻を象った岩がそそり立っています。公園の入口には薬師堂があり奉られている馬頭観音を参拝、順路に従いアカマツとウラジロ群落を抜けると岩の頂きにある公園に辿りつき記念撮影をした後、昼食を採りました。三方の切り立った崖風情や直下の吊橋の揺れ等スリリングな体験をしました。
【観察した生き物】
◎ 植物 アカマツ、アオギリ、リョウブ、コナラ、ウラジロガシ、スダジイ、コバノトネリコ、ヒサカキ、ネジキ、イヌツゲ、モチツツジ、ウリカエデ、ボダイジュ(種も)、センブリ、ウラジロ、コシダ、ススキ、タガネソウ、ヒメヒバ、ツルニンジンなど
◎ その他 ダンゴムシ、アゲハチョウの仲間の蛹
【左】獅子の鼻の先端。
【中】野部礫層といわれ、200万年前のもの。
【右】ハナミョウガの果実。
【左】ツルニンジン(ジイソブ)の若果実。
【中】クマヤナギ
【右】コウヤボウキ
【左】マツボックリをリスが食べた後。
【中】岩室廃寺の塔の跡。
【右】岩室廃寺に落ちていたボダイジュの実。
【左】獅子が彫刻されたトイレ。
【中】大きな野生のシイタケ、見っけ。
【右】獅子の鼻の先端で記念写真。
【左】エビイモの特産地を訪ねて。
【右】静岡県豊岡村の鈴木良三郎さんからエビイモを分けていただく。
【行事名】 周智郡・小国神社
同郡森町に鎮座、ご祭神は大己貴命(オオナムチノミコト)、即ち、神話「因幡の白うさぎ」でお馴染みの優しい神様、大国主命(オオクニヌシノミコト)です。ただし、頂いたパンフレットによると古事記、日本書紀には他にも多くの神名が伝えられ国中の悪い神様を追い出し平和な国に治められたと伝えられるなど、など、それだけ偉大で尊くご神徳があった神様のようです。明治6年に国幣小社に列せられ現在は遠江国一宮として信仰を広く集めている由。
【左】小国神社の紅葉が植栽されている林内。
【中】ヤブミョウガ
【右】スギエダタケ?
【左】キヌメリガサ?
【中】クロサカズキタケ?。ブナ林に生えるといわれてるが。
【右】ひも状のコケ。
【左】小国神社の本殿に向かう境内。
【行事名】 宿泊地・コテージ/アクティーで灯火採集(20:10〜21:50)
【灯火に集った生き物たち】
◎ 虫さん トビゲラの仲間(3種)、ヤガの仲間、ナカウスエダシャク、カラスノヨトウ、ヒメバチ、ヒメガガンボ、ヤママユガ、ヒメヤママユガ(3頭)、カの仲間など集った虫さん達が少なかった。
【翌朝コテージ出発前に観察した生き物】
◎虫さん ハナムグリ、ツマグロオオヨコバイ、ジョロウグモなど
◎鳥さん シジュウカラ、ハシボソカラスほか
【左】コテージ裏に灯火観察の装置を設置。
【中】長久手町のサッカー少年が虫の観察に訪れた。
【右】サシガメの仲間
【左】ユスリカの仲間
【中】45
【右】羽ぼろぼろ燐粉が落ち同定不能。
【左】ツマキナカジロナミシャク
【中】48
【右】ユスリカの結婚式。
【左】トビケラの仲間。
【中】ツマキナカジロナミシャク
【右】ヒメヤママユ
【左】ツマキナカジロナミシャク
【中】ナカウスエダシャク
【右】フクラスズメ
【左】56
【中】オオトビモンシャチホコ
【右】コテージ/アクティー前で
【左】看板お軒下に大きなクモ住んでいました。
【中】60
【右】ツマグロオオヨコバイ
【左】シジュウカラ。
【行事名】 牧の原・相良油田
富田松夫さんから油田の歴史と所有の油井跡の現地案内を頂きました。太平洋岸で唯一の油田で、かつガソリン留分が34%と多く、重油留分が僅か9%の良質な原油として明治6年から83年間牧の原地区の産業の一部に貢献しました。近くにある富田さんのイチジク畑に往時を髣髴とさせる深さ320mの油井跡を見学、皆で目と嗅覚で原油を現認、御礼を述べ現場を後にしました。
【左】富田さんの説明。
【中】富田さんが井戸の中に風を送るフイゴを作動しています。
【右】井戸の縁に作られた鉄塔。
【左】パイプの中の原油を覗いています。
【中】原油の汲み出しをしています。
【右】原油の色を観察。
【行事名】 御前埼灯台
冬型の気圧配置に加え地形から来る独特の強風下、海岸に降り立つと砂混じり風を受けながら砂浜で当地の銘貝ツグチガイ、チリボタンなどの採集と漂流物観察に時の経つのも忘れました。歴史を紐解いてみると今から370年前、江戸初期に灯台の元祖ともいえる’あんどん型’の灯明台を建てたのが当灯台の始めです。明治5年英人指導の元、国初の西洋式の回転閃光レンズの灯台として運転開始、建造以来130年超経過しています。風の当らない休業中のレストラン入口で皆が車座となり昼食を楽しく採りました。
【観察した貝類】
ツグチガイ、チリボタン、マガキ、サザエ、タカラガイ、ナシジガイ、カモメガイ、タルザカラ、カノコダカラ、カモメガイ、イモガイ、カキの仲間、バショウガイの仲間など
【左】寒風の中、漂着物探し。
【中】ヤギの仲間
【右】カメの甲羅の一部。
【左】カモメガイ
【中】ウキダカラ
【右】チャイロキヌタ
【左】ベニエガイ
【中】エビスガイ
【右】ヨウラクモドキ?
【左】ヒメクボガイ?
【中】ケイトウガイの磨耗したもの?
【右】79
【左】イモガイ科の仲間
【中】マツムシ
【右】カムロガイ?
【左】チャイロキヌタ
【中】カモンダカラ
【右】タマキガイ
【左】ツグチガイ
【中】ツグチガイ
【右】ニシキウズガイ科の仲間
【左】チリボタン
【中】チリボタン
【右】オオヘビガイ
【左】アヤメダカラ
【中】ウノアシ
【右】トベラの果実
【左】御前崎海岸で拾った石。安山岩?(左上)、泥岩(右上)、泥岩(左下)、花崗岩(右下)
【行事名】 御前崎市・池宮神社
一間社母屋平入、流れ白柱や総朱塗りなど江戸中期の独特な建築技法により創建された神社(俄か雨で引揚げのため内容略)
【左】
【中】
【右】
【左】
【右】
【行事名】 磐田市・桶ケ谷沼
袋井ICで降りビジターセンターを訪ねスタッフ・原さんから説明を受け西岸に設けられた観察舎で沼に飛来の冬鳥観察をしました。当沼は、磐田原台地の東谷間に大地から水が浸み出して出来た県自然環境保全地域の沼です。谷の西側は林に囲まれ排水など人為的な汚染が無く昔ながらの動植物が生息しています。特にトンボは日本一の多産地として有名で国内30%強の67種が観察されているそうです。中でも環境省・絶滅危惧種指定のベッコウトンボは体長4.5cm、4〜6月に見られ打水産卵種です。観察を終え大きな虹の輪に送られながらセンターを後にしました。
【観察された水鳥】コサギ、アオサギ、コガモ、オカヨシガモ、オオバン、キンクロハジロ、メジロなど
【左】
【中】
【右】
【左】
【中】
【右】
【左】
【行事名】 豊田町・熊野(ユヤ)の長フジ
シーズン・オフの時期、事務所は休館中でした。行興寺境内の約500坪内に紫房5尺(=1.5m)以上に垂れる国及び県指定天然記念物のフジです。平安の昔、『いかにせん都の春も惜しけれど なれにし東の花や散るらん』との歌を詠み、主人・平宗盛の心を動かし、里帰りが適った謡曲「熊野」で有名な熊野御前がお手植えになったと伝えられています。境内フジ棚近くには熊野御前の墓があり今でもシーズン中にはフジの色香を楽しんでいるのでしょう。ロマンに浸りながら夕闇迫る境内を後に一路、西に向かい帰路に就きました。
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