【行事名】 東海市船津神社周辺のカシノナガキクイムシの被害状況確認観察会
(知多支部臨時研修会)
【日 時】 2007年3月10日(土曜日) 13:30〜15:50
【場 所】 東海市名和町船津「船津神社」境内
【天 気】 晴れのち曇り
【参加者】 (会員:降幡、榊原正、浅井、榊原靖、平松俊、山本、竹内秀、門脇、大嶋、石原、小川、中井康、岩崎)
【目 的】
ナガキクイムシの被害で植生を遷えるくらいの影響が心配されるカシノナガキクイムシの被害を現認することにより知多地方の情報を把握し、公共団体・自治体等との連携を考える基礎資料とする。
【内 容】
船津神社・禰宜職の早川さんも立会されての実態被害の確認を行いました。 先ず降幡さんの事前調査で被害がひどいと判断された境内南東斜面のコナラを観察、その被害の甚大さを目の当たりにして一同驚きの声をあげました。状況確認中にコナラに巣食う成虫及び幼虫を発見、初めて対面のカシノナガキクイムシに歓声を上げました。中には樹液で仮死状態のものも観察されました。状況が確認出来た事象は以下のとおりです。
・何らかの被害を受けている約25本を観察、比較的大きいコナラ(推定樹齢50〜60年)に被害が顕彰されていて既に通道障害を受け枯れているものもある。
・東南方位のコナラのみならず北東面のコナラにも被害が発症されている(なお、丘陵中央域には健全状態のコナラもあり)。
・ムシは5mm前後の体長でよく目を凝らさぬと見つけ難い(観察後1時間くらい経過した時点で探すのに慣れて来た)
・植生が換えられる(針葉樹などに)危惧の念を持った。
【今後の進め方】
境内で参加者一同で討議、種々意見が出されたが当面の進め方を以下のように仮決定した。
・知多支部として、各市町の観察活動の中で実態調査を行い被害状況を把握する方向で取組む。ただし、その際、収拾収集データの活用目的を明確にしておく必要がある(別途)
・データの収集方法は、協議会案をベースに収集し易い手法を工夫する(統一要)。
なお、来る3月21日の協議会総会時の協議会サイドの見解や当該講演会内容なども参考とする(小川/記)。
【東海市北部の現状】
調査日 場所 コナラの被害
・ 070222 船津神社 30本調査中20本被害あり
・ 070222 渡内小北西の八幡神社 4本調査中被害なし
・ 070222 平州記念・神明社 40本調査中被害なし
・ 070222 名和中の南東の森 20本調査中1本に進入跡あり
・ 070226 渡内保育園南 20本調査中8本被害あり(アベマキは被害なし)
・ 070226 名和町字長生 30本調査中被害なし
・ 070226 聚楽園公園北 4本調査中3本被害あり(アベマキは被害なし)
【カシノナガキクイムシ---Encyclopaedia Britanica(’95年英国版の英文要訳)】甲虫目ナガキクインムシ科の昆虫。→甲虫目ナガキクイムシ科の昆虫。
】
≪Platypodidae pinhole borer≫
・世界に32属1463種が記録されている甲虫目ナガキクインムシ科の昆虫。日本では3属18種が知られていて本州、九州に広く分布している。
・体長4〜5mmのナガキクイムシは体が円筒形で細長く褐色、頭部は胸部に覆われず幅が広い。触角の先端は球桿状で?節の第1節が著しく長い。
・コナラ、クリ、カシ類などの広葉樹に穿孔し成虫、幼虫ともに材の中で生活している。雌雄対となって(一夫一婦性)木材中に営巣、孔道にアンブロシア(ambrosia,語源は不死を意味)菌を繁殖させ幼虫の食物とする。菌の胞子は前胸背の後方中央部にある小孔群に蓄わえられる。幼虫は白色、円筒形で胸脚を欠く。
・同じ科目にヤチダモノナガキクイムシ(crossotarsus niponicus)が記録されている。体長5.7〜6.5mm。
【国会での質問書】
【政府からの「ミズナラなどのナラ枯れ被害に関する質問」に対する答弁書】
【記録写真】
【左】船津神社の社叢。 【右】立ち枯れしたと思われるコナラ。
【左】カシナガが入り樹液が出ている。 【右】カシノナガキクイムシの背と腹。