【左】まず水源錘に入る前に靴底に着いた種子などを洗い流します。
【右】新しいビジターセンターができていました。

 
【左】コツクバネウツギが咲いていました。
【右】シロバナニガナは愛知県の山の手でも見られます。

 
【左】ヒメハギは知多であまり見られなくなっています。
【右】マルバマンサクの葉が枯れて、枯死の前触れだそうです。温暖化の影響?

 
【左】イワナシノの実が付いていました。
【右】ウリカエデの果実です。

 
【左】山門の入り口で、ムカシヤンマが出迎えてくれました。
【右】メイガの仲間でしょうか。

 
【左】ヤマサナエのヤゴでしょうか。
【右】ヤマボウシの花です。白いのは総苞(そうほう)です。
 
【左】ワカバグモが虫(ガガンボ?)を食べていました。
【右】大きなガガンボの幼虫が見つかりました。

 水源の森に向かう道では、畑や田んぼを野生動物から守る柵を目にし、人と自然の共存の難しさと苦労を感じました。また、道の斜面からは、ピンクのタニウツギの花が咲き乱れこれから始まる散策への期待感を高めてくれました。この花はこれからの2日間で一番多く目にすることができた花です。車を少し離れた斎場の駐車場に止め(ほんとにここで駐車してよいのか?)入り口まで歩いていきました。この間、アキグミ、ヒメハギ、コナスビ、タニウツギ、ツクバネウツギといった花々が気分を高揚させてくれました。川や小さな水溜りにはアカハライモリがたくさんおり、こちらも今回一番多くの個体数を目にした動物となりました。サワガニも何度か遭遇し、たくさん生息しているようです。
 「水源の森」に入るときは靴の底をまず洗う。外から種を持ち込まないようにする配慮で初めての体験でした。テレビでガラパゴス島巡りをするときに靴底を洗うシーンをみたことがありますが、日本においても貴重でデリケートな自然を守っていくためには当然といえる行為なのでしょう。
 初めに「山門水源の森を次の世代に引き継ぐ会」の藤本氏から20分ほど説明を受け、それから湿原の周りの森を案内していただきました。コアジサイ、アカガシ、ミズナラ、タニウツギ、ウリカエデ、イワナシ、タムシバ、シロモジ、アオハダ、ヤマボウシなどの樹木を観察しました。その中にマルバマンサクの新芽の枯れたものが数多くあり、これを数年繰り返すと樹は枯れてしまうという原因不明の現象が広がりつつあるという興味深い説明がありました。また、ミズナラの巨木が枯れつつあること、リョウブの樹皮のシカの食害、ミズゴケや希少植物の盗掘などの問題も多くあるようでした。盗掘の多いササユリは、盗掘防止のパトロールのみならず、種から発芽させ一つ一つの小さな芽に立て札をつけて保護し育成する、ボランティアの活動だけでは十分な保護はかなり大変なようでした。人間の自然界への悪影響として、木から落ちていた鳥の巣の素材がコケとビニール紐であったこと。「こんな自然豊富なところなのに…」と思うと鳥たちにに申し訳ない気がしました。ここで特に珍しいものとしては、南のアカガシと北のブナが一緒に見られることアカガシの北限とブナ林の南限と境目に位置する場所だからです。それに“株立ちのアカガシ”、これは、木が何度も切られたことによって株の周りから新しい枝が出て作られるようです。森の中では、エゾハルゼミ、モリアオガエル、ウグイスなどの声を耳にすることができました。足元では、ササユリ、ナルコユリ、バイカオウレン、ノギラン、湿原の中にはヤマドリゼンマイ、レンゲツツジ、ミズゴケなどを観ました。ヤマドリゼンマイはシカの食み後があり、“シカはシダも食べる”のに驚きました。森から戻った人口湿原の脇に生えたヤナギの木にエイリアンの抜け殻ならぬ、ヤナギハムシの蛹の集団抜け殻発見。これは一見の価値アリ!!

 
【左】ヤナギハムシの抜け殻です。
【右】ヤナギハムシ幼虫。

   
【左】四季の森で記念写真。
【右】サワガニ

 
【左】ブナとアカガシが混生していました。
【右】リョウブの表皮をシカが食べた跡です。

 次に向かったのは、「くつき温泉 てんくう」。ここでは“温泉くつろぎチーム”と夜の“飲み物買出し隊”に別れ、時間を効果的に使いました。
 風呂の後は、山の中の隠れ里、本日の宿となる「はりはたごう針畑郷山村都市交館 さんきらい山帰来」へ。 「山帰来」は、滋賀県高島市朽木の奥に位置し琵琶湖に流入する安曇川の支流、針畑川が近くを流れている宿で、周りすべてが格好の観察ポイント。ここでも畑の作物をシカ、イノシシなどから守るため、柵や鉄線が引かれていました。夜の観察に供え、灯火採集のセッティングは、何も植わっていない畑の中に行いました。虫が集まるまでの時間、夕食を摂り、明日の「芦生の森」観察のガイドをしてくださる飯高恒夫氏の講座を聴きました。食事は地元の方が作ってくれた料理がテーブルに所狭しと並びました。コシアブラやサツマイモ、しいたけ、フジの花の天ぷら、ニンジンやレンコン、たけのこなどの煮物、だいこん漬け、辛し和え、から揚げもありました。名物の「サバのなれ鮨」は、かなり塩辛いのですが、よく味わうとやや酸味の利いたまったりとしたチーズのような風味の食品です。茹でた破竹といっしょに食べると絶品とのことでした。また、飯高氏の講座は、芦生の歴史や人と自然の結びつき、樹木のことなど多義に渡りご紹介いただき明日の散策の期待を膨らませることができました。
 灯火採集の布には、数は少ないながら小さなガの仲間と立派なオオミズアオが3匹も止まっていました。森の中では何度か「キョウッ!」と怪しげな泣き声も聞こえ、山の夜というシチュエーションを盛り上げました。その後、針畑川にしかけを作りハヤなどを採取したようです。
 翌日は、早朝6:00からカキツバタと針畑川の観察。針畑川ではアカハライモリ、アブラハヤ、ヘビトンボの幼虫の“孫太郎虫”、ヤゴ、カゲロウの幼虫、カワゲラの幼虫などを観察しました。
 朝食を摂り、8:00いよいよ“芦生の森”に出発。車を降り、まずミズメの香りを堪能。そこから歩いて地蔵峠入り口へ、一歩踏み込めばすでに原生林。ここから約40分、三国峠を目指しひたすら登る。ここでは大きなトチと枯れたミズナラが印象的でした。その他イヌブナ、スギ、ユスリハ、ギンリョウソウ、イワカガミなどにも出会えました。三国峠は標高775.9m、そこから野田畑へは、巨木のミズナラ、ブナ、サワグルミ、ヤブデマリの花、小さなミヤマカタバミ、ニリンソウ、ゴマノハグサの仲間、川の中のアブラハヤ、ヤマメなどを観ながら進みました。野田畑湿原は、由良川の水源で、明治末期まで木地師が3名住んでいたところです。まっすぐ伸びたスギの巨木にクロマツ、エゾノリンゴ(リンゴの原種)の木やスモモの木もあり、これらは現在ではツキノワグマが食べ物になっているようです。野田畑湿原から長治谷小屋までの間ではカジカガエルの涼やかな声に暑さも和らぎました。また川筋ではミソサザイのさえずりやアオゲラのドラミングと声も聞くことができました。山の斜面に生えた木々たちは雪の重みで幹が湾曲していました。ブナは青い実がたくさんついており今年は、豊作のようでした。珍しい物としては、“シカの骨”、何ものかが食べたのか付近には体毛がまだいっぱいありました。シカの骨はこの先2体あり、計3体見ることができました。ニョイスミレの咲く長治谷小屋周辺で昼食を食べ、周りを軽く散策。シカの糞、ペースト状の糞、ゴツゴツ固まった糞、など哺乳動物の様々な糞や足跡を観察。ノウサギのこどもがいました。哺乳動物の痕跡はたくさん観たものの生きたものはこの子ウサギだけでした。
 昼食後、向かったのは下谷のカツラの巨木。胸高直径320cm、樹高37.5m。このカツラの樹の周りは、神秘的で不思議な空間が作り出されているような気がしました。
 戻りのコースでは白花のタニウツギを見ることができました。普通タニウツギはピンクが基本です。ガイドの飯高氏も25年間ではじめて見たとのことでかなり珍しいもののようです。地蔵峠出口で今日のコースを説明していただきました。今日一日歩いたところが芦生全体の10分の1にも満たないあまりにも狭い範囲であったことにビックリしました。人が簡単に踏み込めないから豊かな自然が残る…これでいいのだ…最後は待望のモリアオガエルが卵塊とともにその姿を披露してくれました。
 森も動物も人も、空気も香りも音も溶け合うようになじんでいる、そんな“芦生の森”が何百年、何千年と続きますよう・・・

 
【左】宿泊所の「山帰来」の近くで灯火採集も試みました。
【右】オオミズアオです。

 
【左】25
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【左】「山帰来」前の川で、川に住む生き物観察をしました。
【右】イモリ

 
【左】カワゲラの仲間。
【右】ヘビトンボ。

 
【左】トビケラの成虫。
【右】カゲロウの仲間。

 
【左】オオイワカガミの花が未だ残っていました。
【右】コケモモ。

 
【左】タニウツギの白花が咲いていました。
【右】シカの死骸。シカが増えすぎて餌不足だそうです。

 
【左】モリアオガエル。卵も見ました。
【右】ギンリョウソウが顔を出していました。

 
【左】フナ林を進みます。
【右】雪に強いのがアシュウスギの特徴です。

 
【左】ブナの実です。今年は成年でしょうか。
【右】ヒメツキミタケみたいです。

 
【左】可憐なタニギキョウが咲いていました。
【右】ツリガネツツジ。

 
【左】大きなカツラノの下にフデリンドウが咲いていました。
【右】大きなカツラの前で記念写真。


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