【行事名】 敦賀の湿地と海岸をたずねて(知多自然観察会研修旅行)

【日 時】 2004年5月29日(土)〜5月30日(日)

【場 所】 福井県方面

【天 気】 晴れ、風も無くおだやか

【参加者】 参加者:南川、桑原、畠、浅井(子供2人:カオル君、シンゴ君)、榊原(靖)、 竹内秀(子供3人:ユウキ君、りんちゃん、大君)、牧野

【日程】
  1日目:曇り時々雨
     コース:敦賀 中池見湿地⇒気比の松原⇒常宮神社⇒立石⇒民宿
 2日目:晴れ(真夏日で暑い)
      コース:民宿⇒常神の大ソテツ⇒若狭三方マリンパーク(県海浜自然センター)
        ⇒小浜城址⇒若狭歴史民族資料館⇒森林の水PR館⇒明通寺

【内 容】
 天気予報では雨、なんとついてないだろう…。 しかし、参加者の心がけが良く(?)2日間とも雨具の出番は1日目のわずかな時間を除いては全くなし、アクティブで充実した楽しい研修旅行だった。
 朝6:30東海市大池公園駐車場に集合。早いなぁと不安もあったが(私だけ?)遅刻者もなく、時間通りのスタートが切れた。今回参加者がいつもより少なめでやや寂しい感じもしたが、浅井さんと竹内さんの2台の車に分譲し一路敦賀に向かう。
 最初の見学地「中池見湿地」は貴重な動植物や水環境で国際的に注目されている湿地で、様々なイベント企画や、美しい説明看板、展示施設など環境教育のための「人」・「物」の充実を感じる。この日も団体の見学者が多数来場していた。 私たちは、まず入り口のところでクサイチゴの熟した実を発見(美味!!)、倒木の下からは巨大ムカデとワクワクするスタートに期待が膨らむ。湿原に出るまでの雑木林ではタブノキの新芽、エノキの幼木、リョウブの樹皮、クロモジの枝の香り(楊枝を作る)、カナクギノキの香り、コウゾの実、タツナミソウやコアジサイの花、まだ花の咲いてないヤクシソウ、コナラの虫えい、マムシグサ、ゴミグモなどを五感いっぱいに感じながら進んだ。湿原入り口で出て迎えてくれたのが、ブタナやノアザミの花、ヘビイチゴの実、中池見の保全対象種のミズニラ。さらに湿地の中を進んでいくとカキツバタの花、花の終わったサワオグルマ、ミゾソバやミツガシワ、ミクリの群生、イボタノキの花を吸蜜するクマバチ、カワトンボ、デンジソウやヒメビシなどの希少植物などに出会えた。帰り道は同じ道を通ったが行くときは気付かなかったミツバオウレンを幾株も発見することができた。日ごろ見ることができないものや初めて見るものに感動の連続であるが、きりがないので昼食のポイントへ移動する。

 
【左】クリタマバチの虫瘤(ちゅうえい)見たいです。北陸のものは新鮮な感じがします。
【右】ノハラアザミみたいですが、色が濃い感じがします。

 
【左】シダの仲間で水生植物のデンジソウです。愛知県では絶滅に近いです。
【右】高層湿原でよく見られるミツガシワです。もう花が終わっていました。

 
【左】ミクリ科のミクリです。ミクリは実栗からの名前で、栗のイガに似たところからだそうです。
【右】オウレンの果実です。漢名で黄連(おうれん)といい薬用にされます。

 
【左】コガネマイマイでしょうか。
【右】ハングル文字のプラスチック容器が流れ着いていました。

 昼食を調達し、「気比の松原」で約2万本のアカマツに囲まれランチタイム。昼食後は海水浴場になる砂浜で少し遊び「常宮神神社」へ向かう。
「常宮神社」の近くには川があり子供たちは即、川へ。ひとつの川が途中から2つの川に別れ、ひとつの川は天然に近い状態であったが、もうひとつは両岸、底とも切り出されたブロックのような石で人工的に作られておりここまで作る必要性は…?と残念ではあった。神社周辺の森ではすごく立派なヘビイチゴの実を焼酎漬けにするため採取。竹内氏によると皮膚トラブルに効くらしい。別ルートを散策していた桑原氏がムクロジの実を拾ってきた。これは観賞用だそうだ。ここにあるはずの国宝の「朝鮮鐘」は誰か見たのだろうか?気を取り直して次はいよいよ海だ。
 敦賀半島を北上し立石の海岸で観察を実施する。漂着物にハングル文字を見つけ改めて朝鮮半島が近いことや今話題の拉致問題に思いを馳せる。が、子供たちはさらに元気。アメフラシやミズクラゲを捕らえ、岩を駆け上がりetc、etc、大ちゃん、まだ裸を寒いよ〜。ここではまずカメノテを試食(これは牧野だけ)、アカクラゲ発見、カニはイワガニのみ、カサガイもベッコウカサガイ、ヨメガカサガイ、アオガイ程度で知多の海よりかなり種類は少ない。浜辺の植物はクサスギカズラ、花が咲いるマンテマやハマヒルガオ、ハマボッス。シンゴくんから蝶がいっぱいいるとの報告を受けついていくと、20〜30匹はいると思われるアサギマダラの乱舞、映画のワンシーンか天国に迷い込んだような幻想的な世界が広がる。アサギマダラは、ここでハマボッスの花の吸蜜をしていたようだ。アサギマダラ大撮影大会となるが、なかなかモデルは思うようにポーズをとってくれない。畠氏は20枚以上のフィルムをここで費やしたと思われる。ファンタスティックワールドに後ろ髪を引かれながら今日の宿へ移動する。
 
【左】チャートでできた大きな岩の上に上りました。

 「民宿 長兵衛」は敦賀市名子にありすべての部屋から砂浜と海が見える精神的贅沢な造りの宿である。食事までの一時間ほどを突堤や浜辺で生き物を捕らえ観察する。4〜5cmくらいのカワハギ、赤色が美しいハオコゼ、イトマキヒトデ、トゲモミジ、ヒトデ、ヤドカリ、イワガニ、ウミウシ、ミズクラゲ、ナマコなど。
 夕食は浜辺に面した半屋外(屋根のみある)で豪華バーベキュー。サザエ、ホタテ、イカ、ソーセージ、エビ、肉類、野菜類、ホイル焼き、刺身などなど。しかし、一番の贅沢は先ほど採ったナマコの網焼き。ひとり大豆粒程度しか口にすることはできなかったが思いのほか柔らかくジューシー。捕獲者ユウキ君に感謝。
 夜の観察会はさらに神秘的。海面に手を入れると夜光虫が冷たい光を放ち、輝いては消えまた輝く。懐中電灯で照らす先には、イソスジエビやハオコゼが現れる。夜の捕獲はりんちゃんが網を片手に勇士を披露。始めてみるその姿に母竹内氏も大感激。DNAを強く実感していた。
 
【左】ヨメガガサ、トベッコウガサでしょうか。
【右】イトマキヒトデとヒトデです。

 
【左】ウミウシの仲間でしょうか。
【右】なかなか腰つきがいいですね。見えませんけど、たくさんの漁がありました。

 
【左】ヤツデスナヒトデみたいです。
【右】ゴカイの仲間のウミケムシです。素手で触ると毛に毒があり痛みます。

 朝は朝でまた同じ突堤で観察。オハグロベラ、キュウセン、キヌバリ、ゴンズイなどの魚、海面近くの小さな稚魚。海藻はホンダワラ、ウミウチワ。朝のメーンイベントは30cmほどもあるヤツデスナヒトデの捕獲大作戦。網はぎりぎりのところで届かないしヒトデは突堤の穴に逃げ込もうとするし、長い棒で引っ張り出して人間の勝ち。2日目のスケジュールを消化すべく常神半島へ向かう。
三方五湖と梅林を見ながら常神半島へ入ると海を見下ろす山のくねくね道になる。スリル満点ではあるが美しい風景とともに親子連れのサルやハクビシンの死体、アブラギリの白い花、センダンのスモークパープルの花、ニワトコの赤い実など様々な自然が目を楽しませてくれる。目的地は常神半島先端にある樹齢1000年以上と推定される常神の大ソテツ。民家の庭にあるこの大ソテツの前で記念撮影。近くの電柱の上ではイソヒヨドリらしき鳥がさえずっていた。
 次の目的地は「若狭三方マリンパーク(県海浜自然センター)」1Fには魚の大水槽があり、横のポケットから魚にエサを与えることができる。2Fには三方の歴史や四季、暮らしを紹介した映像コーナーや展示パネル、魚のタッチプール、タッチパネルで知りたい水中生物が即わかる画面など無料の施設とは思えないほどの充実ぶりに感心した。
 
【左】国指定の天然記念物になっている常神の大ソテツです。
【右】国指定の天然記念物の9本ダモ(タブノキ)ですが最近、枯れたみたいで残念です。

 
【左】若狭三方マリンパークの中に、貝で作った飾りがありました。
【右】「若狭三方マリンパーク(県海浜自然センター)」の展示です。

 
【左】アブラギリの花です。中国から来た植物で、この実から油をとります。
【右】船を入れておく倉庫みたいです。昔ながらの作りで趣があります。

 「小浜城址」に移動し昼食を摂る。下見に来た降幡氏と南川氏もここで昼食を摂りそのときのメニューがウナギ弁当であったらしい。その光景は上空を舞っていたトビにも届き、箸でつまんだその瞬間、両氏の間を1羽のトビが水平に飛行し箸の先のものを奪われてしまった。しかし、そのとき箸でつまんだものは、ウナギでなく奈良漬けであった。というかわいそうなトビの話を聞き、今回もトビの飛来を期待し石垣の上のコバンソウが一面に生えた城跡で弁当を食べたが、人数が多いせいか上空を飛ぶだけで近くまでは寄ってこない。食後弁当の残りを投げたところ足でキャッチ、飛びながら嘴でエサをついばみ一部落とす。(やっぱりここのトビはついていない)。近くの巨木にトビの巣を2つ発見、内1つのほうにはヒナもいる様子であった。「小浜城址」で有名なのは天然記念物の9本ダモ(タブノキ)。今は枯れつるが生い茂っていたが見事な巨木であった面影は残していた。
 「若狭歴史民族資料館」は縄文時代の丸木舟を初めとする様々な若狭路の歴史を紹介。
 「森林の水PR館」ではお水送りの名水を試飲。
 そして、最後の観察ポイントである「明通寺」にはいる。明通寺は本堂と三重塔が国宝の真言宗のお寺でユズリハの巨木で作ったといわれる薬師如来など三体の彫刻像が有名、境内には今もユズリハがあった。寺へ入る前の階段に5mmくらいの見たことのないクモを発見、銀色に光る尻に黒い模様。珍しいと思ったが進むうち何匹も遭遇。ここではポピュラー種らしい。その他樹齢500年のカヤノキや珍しいところでカミヤツデ、クラマゴケなどの植物あり。ここでもやはり子供たちは川遊びに熱中。寺を降りてくるとアブラハヤ、カジカガエル、サワガニ、ナベブタムシを捕らえていた。カワトンボの舞う清流と山中にひっそりとたたずむ古刹は心洗われる最後の良い観察地であった。
 
【左】きれいな水のところが多く、カワトンボによく出会うことができました。
【右】国宝になっている明通寺の三重塔です。今回は文化財も見学しました。

 下見をして有意義なルートを企画してくれた降幡氏、南川氏、運転をしてくださいました浅井氏、竹内氏、桑原氏、本当にお疲れ様でした。ありがとうございました。  


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