2011年1月26日
日本福祉大学知多半島総合研究所は、知多半島の豊かな生態系について考える「知多半島生態系ネットワーク・フォーラム」を、愛知県との共催で1月20日(木)に行いました。昨年愛知県・名古屋市で開催された、生物多様性条約第10回締約国会議(COP10)の成果を受け、生態系ネットワーク形成のモデル事業が県内3カ所で実施されることになりました。知多半島は、その一つ「里地モデル」地域に指定されており、今回のフォーラムは、具体的な取り組みに向けたキックオフともいえます。フォーラムに先立って、知多半島生態系ネットワーク協議会の設立会議が開催され、会長には福岡猛志 知多半島総合研究所長が選出されました。
◆環境保全活動に携わる方など、120人を超える参加者が集まりました。
まず、愛知県環境部の伊藤勝至技監が「COP10の成果を生かした地域づくり」をテーマに、愛知県の持続可能な自然環境保全戦略と、その取り組みプランについて報告しました。続いて、元知多市八幡中学校校長の鈴木操さんが「帰っておいで、ごんぎつね 〜平成のごん(狐)は岡田に生息していたのか〜」と題して講演。江戸時代の面影を残す知多市岡田地区でのキツネの生息に関する情報を、写真や手書きのイラストも交えながら話しました。知多半島を舞台にした新美南吉の童話「ごん狐」にも描かれ、一時は知多半島から姿を消していたキツネの話題に、参加者は目を輝かせて聞いていました。また、財団法人日本生態系協会の城戸基秀地域計画室長は、知多半島の生態系を代表する動植物について、その生物多様性再生の可能性を「ポテンシャルマップ」を示しながら説明を行いました。
◆地域の生態系や環境について幅広い実践が報告され、高い関心を集めた講演。
休憩を挟んで座談会「生態系ネットワーク形成に向けて」が、本学健康科学部の福田秀志教授を座長に進められました。知多半島で環境保全に取り組む団体が、それぞれの取り組みを報告した上で、参加者からの質問にも答えながら意見交換を行いました。参加者にも保全活動に携わる方が多く、活動の継続・発展性の課題や、外来種も含め環境に手を加える方法や度合いなどに関する活発な質疑応答がありました。
◆お互いの活動や意見に学び合い、今後の連携にもつながる機会になりました。
知多半島というフィールドにある豊かな生態系と、その保全に取り組む多様な実践について話し合われたフォーラム。協議会では、生態系ネットワーク形成の事業計画を整備し、次年度から先行実施に着手する予定です。
★座談会で報告をいただいた団体は以下の通り(報告順)。
株式会社INAX(地域やNPOと連携した生態系保全の取り組み)
知多市(臨海部グリーンベルトなどにおける人と自然の「つながり」づくりに向けた取り組み)
東邦ガス株式会社(ビオトープの整備や環境教育活動への取り組み)
板山高根湿地環境ボランティア観察保存会(湿地の保全と広報活動の取り組み)
美浜町竹林整備事業化協議会(竹林整備と竹炭土壌改良材などの事業化の取り組み)