調査活動報告 (2019.12.20 投稿)
知多の淡水エビ
榊原 靖
淡水エビを極めたい
川で観察会を行うと、多くの場合エビに出会います。テナガエビとかスジエビであればだいたい現場で見分けがつくので観察記録を辿って分布情報とすることが可能(写真が添えられていればなおよい)と思いますが、ヌマエビ類となると慣れていないと正確な同定には至らないと考えます。実際過去の観察会記録をみると「ヌマエビ」とだけ記されているケースが多くみられます。もちろん観察会ではそんな細かい種名にこだわる必要はないのですが、各種の正確な分布状況を知りたいとなるとそうはいきません。
知多半島の淡水エビの分布状況を知りたいとかねてから思っていました。そのきっかけとなったのは淡水生物学のバイブルともいうべき上野益三編修「川村日本淡水生物学」に記された「ヌマエビは本州以南の日本全土に分布し、ヌカエビは河和(知多半島)〜村上(新潟県)の線以東および以北の本州に産する」という記載でした。そこで知多支部の代表を仰せつかった機会に淡水エビを調査対象とすることを提案しました。調査といっても観察会でみつかったエビ類の情報を集める程度の活動です。ところが思っていた以上に私自身が観察会に参加できなくて、このエビ類調査遅々として進展していないというのが現状です。
それでも南知多町で最近始まった山海川の観察会のお陰で、今までに見られなかった種(ヒラテテナガエビ、ミナミテナガエビ、ヒメヌマエビ、トゲナシヌマエビ)が加わり、知多の淡水エビ相は急に賑やかになりました。南知多町ではこれまで川の観察会がほとんど取り組まれてきませんでした。今後新たな発見が続くのでは、と期待しています。
<知多半島の淡水エビ>
Wikipediaによるとエビは、「節足動物門・甲殻亜門・軟甲綱・十脚目(エビ目)のうちカニ下目(短尾類)とヤドカリ下目(異尾類)以外の全ての種の総称である」とのことなので、ザリガニもエビということになります。現時点で把握している知多半島の淡水エビ類は以下のとおりとなります。
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(本稿は、愛知県自然観察指導員連絡協議会発行の『協議会ニュース』164号に「私の活動紹介」として掲載したものを一部改変して再掲しました。)